子宮発育不全症

2011-04-16

-子宮発育不全症とは-
厳密な定義はありませんが、子宮の大きさが各年齢相当の正常子宮に比較して小さい場合を子宮発育不全症と呼びます。

-原因-
原因としては、先天的な子宮低形成と卵巣機能不全に伴う後天的な発育不全に分かれます。
○先天的原因
■子宮低形成
ミュラー管の発育不全が原因であることが多く、全腟欠損で機能性子宮をもたない場合では、痕跡的な子宮しか認められません。
■染色体異常
子宮発育不全を認めることがありますが、これは卵巣機能不全に伴うものです。
○後天的原因
思春期以後の卵巣機能不全により低エストロゲンが長期間に及ぶと子宮の発育不全を来したり、いったん正常に発育した子宮が萎縮することがあります。

-症状-
腟欠損で機能性子宮をもつ場合には、思春期以後、月経に伴って子宮や卵管への月経血の貯留を来すため、月経血をみないまま周期的な腹痛を来す月経モリミナという症状が現れます。
また、機能性子宮の有無にかかわらず、性交渉の障害を来します。

-治療-
治療は手術療法しかなく、従来各種の術式が行われてきました。
○主な術式
■フランク法
腟前庭をヘガールなどで圧伸して腟腔を形成したのち、その腟腔を拡張する方法
■マッキンドー法
観血的に腟腔を形成したのち、皮膚移植により腟壁を形成する方法
■ダビドフ法
観血的に腟腔を形成したのち、骨盤腹膜を利用して腟壁を形成する方法
■ルーゲ法
観血的に腟腔を形成したのち、開腹してS状結腸を切り離し、腟管として利用する方法
■その他
低侵襲に骨盤腹膜やS状結腸を利用した造腟術など

いずれの術式を選択しても、造腟術後に腟管の状態を維持するためには、定期的な性交渉あるいはプロテーゼ(筒状の拡張器具)による自己管理が必要となるため、性交渉を目的とする場合には、手術を行う時期としては性交渉のパートナーが現れてからが好ましいといえます。

Copyright(c) 2011 医療法人マイビー・まつなが産婦人科 All Rights Reserved.