更年期啓発
■更年期に起こること■
~更年期障害、症状や感じ方は人それぞれ~
エストロゲンの分泌が低下し始める更年期、女性が最初に感じることは月経(生理)の変化です。今までと比べて月経周期が短くなったり、月経日数や月経量が減ったり、また、月経が2、3か月に1度になるなど「からだの変化」を感じます。
また、エストロゲンは生殖機能以外にも心血管系、自律神経系、脳機能、皮膚代謝、脂質代謝、骨代謝など女性のからだの様々な器官に作用しています。
エストロゲンが欠乏するとこれらの器官が今まで通り機能できなくなり、これにより様々な不調を感じることになります。
~更年期障害のさまざまな症状~
○のぼせ、ほてり、発汗、口の渇き、のどのつかえ、肩こり
○頭痛、めまい、耳鳴り、物忘れ、集中力の低下、不眠、不安感、疲労感
○食欲不振、吐き気、便秘、下痢
○動悸、息切れ
○腹痛
○皮膚や粘膜の乾燥・かゆみ
○膣炎、性交障害
○しびれ、知覚過敏、関節痛、筋肉痛
これらの不調は環境や心理状態にも関係するため、感じ方や症状の種類、症状を感じる年齢などは女性ひとりひとり違います。
からだのサインに耳を澄ませて自分に起きていることを知る、そして、それが更年期によくみられる症状であるとわかるだけで不安や不調が和らぐこともあります。
だからこそ、更年期以降に起こりやすいさまざまな「からだの変化」を知っておくことが大切なのです。
■更年期障害の治療法■
~HRT(ホルモン補充療法)~
HRTとは、更年期を迎え、女性の体の中で分泌が低下し、欠乏してゆくエストロゲンを薬で補う治療法です。
HRTは、エストロゲンの欠乏により引き起こされた症状を、エストロゲンそのものを補うことにより軽減させる治療法で、原因療法といえます。
また、女性のからだのさまざまな器官に作用しているエストロゲンを維持することは、更年期に温床ができ、老年期に顕在化する病気(動脈硬化や骨粗鬆症など)の予防にもつながる可能性があると言われています。
■HRTが女性にもたらしてくれるもの■
~HRTの主な効果~
HRTは欠乏しているエストロゲンを補うことで、からだ全体に良い効果をもたらしてくれます。
○のぼせ、ほてり、発汗などの症状を改善する。
○性器の萎縮で起こる膣炎や性交痛を改善する。
○骨が溶け出すのを抑え、骨量を維持し、骨粗鬆症を防ぐ。
また、このほかにも以下のような作用も認められています。
○意欲や集中力の低下を回復させ、気分の落ち込みを和らげる。
○悪玉コレステロールを減らし、善玉コレステロールを増やし、血管のしなやかさを保ち、
動脈硬化を防ぐ。
○皮膚のコラーゲンを増やし、肌の潤いを保つ。
HRTを受けた人は下記のように感じています。
○元気になった
○気持ちが明るくなった
○健康への意識が高まった
○婦人科医に気軽に相談できるようになった
○家事・仕事に支障がなくなった
○化粧のりがよくなった
○仕事や趣味に積極的になった
○夫・家族関係が円満になった
~骨粗鬆症とエストロゲンの関係~
骨粗鬆症とは、骨強度が減少し骨折の危険性が高まった状態のことをいいます。エストロゲン欠乏により骨密度は著しく減少し、骨質が劣化します。
骨強度 = 骨密度 + 骨質 (骨密度が減少すると骨が弱くなります。)
HRTを行った場合、30%以上の骨折を防止します。
■充実したセカンドライフのために■
~HRTはエストロゲン欠乏によって起こる病気を予防します~
世界では、閉経後の多くの女性にHRTが行われていますが、その目的は、大きく分けて二つあるといわれています。
一つ目は、ホットフラッシュ(のぼせ、ほてり)などいわゆる更年期障害の治療、もう一つは、更年期以降に起こる病気の予防です。
女性にとって更年期は、皮膚萎縮、骨粗鬆症、動脈硬化などが起こり始める時期です。
HRTを続けることによって、こうした更年期以降に起こる病気の温床が予防できるため、生活の質(QOL:Quality of Life)の向上にも大きな貢献が期待できるといわれています。
~更年期から考える「セカンドライフ」のヘルスケアプラン~
からだにさまざまな変化が訪れる更年期。
でも、それはネガティブなことばかりではなく、今まで自分らしい生活を送ってきたあなたが、あなたらしい歳の重ね方を考える、「セカンドライフ」のための準備期間でもあります。
これからも、健康でイキイキとした毎日を送るために、更年期からのヘルスケアを考えましょう。
閉経後の約30年間・・・あなたは人生の約1/3をどう過ごしますか?