外陰がん

2011-04-16

-外陰がんとは-
外陰とは、性器の外側の部分(恥丘、大陰唇、小陰唇、陰核、外尿道口、腟前庭、会陰など)の総称です。
外陰がんは、婦人科が扱う悪性腫瘍のなかで3~4%と少なく、日本での年間発生数は10万人あたり0.5人以下で、比較的まれな病気です。大部分は50歳以降に発生し、特に60代以降に多いとされています。
このがんは、外陰部の表面にできることが多いので、患者さん自身も早期から異常に気づきやすいと思われますが、多くの場合は進行がんとして発見されます。
その理由としては、患者さんが外陰部の腫瘤、潰瘍、長期間続くかゆみなどに気づいていても、婦人科の受診に抵抗感をもつために、受診までの期間が長くなることなどが考えられます。

-原因-
不明な点が多いのですが、少なくとも2つの異なる原因が考えられています。
ひとつは、ヒトパピローマウイルスの感染をきっかけにがんが発生するもので、この場合は比較的若い人に発生するとされています。
もうひとつは、硬化性苔癬(外陰部などに硬い丘疹が数多くできる)などの炎症性疾患が元になって、がんが発生すると推測されています。

-症状-
1期のうちは、しつこく続くかゆみと腫瘤が主な症状です。
2期になり潰瘍が形成されると、痛みや排尿時の灼熱感などを感じるようになります。
これが3期を越えて進行するとリンパ節などに転移し、広汎外陰切除・骨盤内臓全摘術・放射線療法と化学療法を併用した治療などが必要になります。
4期を迎えると、上部尿道や直腸粘膜まで広がり、また遠隔転移も見られ、この場合の5年生存率は0%となります。

-検査と診断-
早期診断に不可欠なのは、注意深い外陰部の視診です。
外陰部は乾燥している部分なので、細胞診で診断するために良好な標本を得ることが比較的困難です。
確定診断は拡大鏡を用いてよく観察し、疑わしい部位の生検(組織の一部を採取して調べる検査)を行います。

Copyright(c) 2011 医療法人マイビー・まつなが産婦人科 All Rights Reserved.