性器ヘルペス

2011-04-16

性器ヘルペスは、性器の単純ヘルペスウイルス(HSV)1型または2型の感染症で、外陰部に小水疱、びらんを形成する疾患です。

HSVは感染後、感染部位の末梢神経から進入して、腰仙髄神経節に潜伏感染します。潜伏感染したHSVは何らかの誘因によって再活性化し、神経を通って粘膜や皮膚に達し、その部位に病変を形成します。 そのため再発がよく見られ、臨床的には初感染初発型、潜伏ウイルスの再活性化による再発型、免疫抑制剤の使用などにより免疫抑制状態になったとき、潜伏ウイルスにより初めて病変が生じる非初感染性初発型(誘発型)に分類されます。

ヘルペスウイルスは女性器皮膚粘膜に感染すると、知覚神経を伝って仙髄神経節に至りここで潜伏感染します。潜伏しているヘルペスウイルスは時々再活性化され再び神経を伝って外陰部に水疱性、潰瘍性病変を作りますが、病変を作らず性器に排出されることもあります。初感染の場合、70%は無症候性ですが、症状が出る場合には強い症状が出ることが多く、再発型では症状は一般的には軽くなります。 感染は性器間のみでなく、口を介した感染例もしばしば見られます。

○初感染初発型の症状○
感染から2-21日(3-7日が多い)の潜伏期間の後、強い痛みを伴って発症します。痛みが現れる前に、かゆみや不快感などの前駆症状がある場合もあります。発症すると強い痛みのため、排尿困難、歩行困難を呈し、入院が必要になることもあります。 性器の症状は、水疱性または浅い潰瘍性病変で、大陰唇、小陰唇、会陰部に多発します。鼠径リンパ節の腫脹(はれ)と痛みが大部分の例で認められ、発熱、頭痛、倦怠感などの全身症状を伴うこともあります。また、強い頭痛、首筋の硬直、羞明感(まぶしく感じる)、尿閉や便秘などの性器以外の症状が合併する場合もあります。

○非初感染初発型の症状○
症状がなく潜伏感染していたヘルペスウイルスが、全身あるいは局所の免疫抑制状態になったとき再活性化されて病変を形成します。免疫抑制状態は、抗がん剤、副腎皮質ホルモン剤などの投与、放射線照射、手術などによることがほとんどですが、心身の疲労などが原因になることもあります。

○再発型の症状○
潜伏感染しているヘルペスウイルスの再活性化により繰り返し再発することが特徴です。症状は比較的軽く、多くは1週間以内に治ります。病変は小さい潰瘍性病変、多数集まった小水疱で、だいたい同じ部位に現れます。再発は、心身の疲労や女性の場合月経が契機となります。再発の回数は様々です。

治療としては、抗ウイルス薬(アシクロビル、パラシクロビル、ビダラビン)の投与によって行われます。しかし、潜伏感染したヘルペスウイルスは抗ウイルス薬が効かず、一応治癒しても再発が繰り返します。 初感染の場合、軽症、中等症の場合は内服で、重症および免疫不全の場合には点滴による投与を行います。再発型の場合、軽症の場合抗ウイルス薬軟膏の塗布また貼付で行われる場合もありますが、それ以外は内服による投与を行います。
一方、妊婦に性器ヘルペスが認められた場合、母子感染を防ぐため帝王切開での分娩が行われます。
潜伏感染したヘルペスウイルスは抗ウイルス薬が効かず、一応治癒しても再発を繰り返します。したがって、再発抑制のための継続投薬すなわち抑制療法が行われます。

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