淋菌感染症
2011-04-16
淋菌感染症は、淋菌の感染による性感染症です。
淋菌は患者の粘膜から離れると数時間で感染性を失い、日光、乾燥や温度の変化、消毒剤で簡単に死滅します。したがって、性交や性交類似行為以外で感染することはあまりありません。
女性では膣から子宮頚管におよび子宮頚管炎を引き起こします。症状としては帯下の増加、膿様帯下、悪臭、などですが男性に比べて女性では症状が少なく気が付かない(約8割の女性が無症状)こともしばしば起こります。
子宮頚管から上行性に子宮、卵管を経由して腹腔内へ感染が波及し、原因不明の下腹痛や発熱の原因になっていることがあります。
卵管周囲の癒着や、卵管通過性の障害が起こり子宮外妊娠や卵管性不妊症の原因となります。
またオーラルセックスにより咽頭炎や扁桃炎の原因にもなっています。肛門性交では直腸炎を引き起こします。
米国ではクラミジア感染症とともに、骨盤炎症性疾患、卵管不妊症、子宮外妊娠、慢性骨盤痛の主要な原因となっています。
その他、咽頭や直腸の感染では症状が自覚されないことが多く、これらの部位も感染源となります。淋菌感染症は何度も再感染しますのでご注意ください。
治療は、抗生物質や抗菌剤などの経口投薬、または注射により行います。
ただ、最近では多剤耐性菌の出現が治療を難しくしています。また、淋菌感染症の10~20%位にクラミジアの合併(混合感染)があります。
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