腰のヤカンはおソバ屋さん
2020-06-10
「広島行きに乗った時なんか…。」
「何?」
「先月号の続き。」
「そうなの?」
「その頃の糸崎駅では、機関車を交換していたから停車時間があった。」
「あったわ。」
「その待ち時間に、首からコンテナをぶら下げて駅弁を売っている人と、ソバを売っている人がいた。」
「いたいた。」
「ソバ売りの方はコンテナに茹でた麺に、ねぎ・かき揚げがのっているプラスチックの丼が満載。」
「出汁は?」
「腰にヤカンをぶら下げて…。その中に入っていた。」
「なるほど。」
「それが大人気で、窓から手を振って呼ばれていたよ。」
「思い出すわ。」
「大忙しの時には、乗客はソバ売りの人を呼ばず、ホームの店舗に猛ダッシュ!」
「私の父は店舗へダッシュして、私の分も買ってきてくれたわ。」
「さすがだね。通になると糸崎が近づくと、ソバ屋近くに停車する車両へ移動。その通の人いわく“売り子さんの出汁は冷めているからね。アツアツを店舗で買うんだ” と言っていたよ」
「なるほど。」
「停車時間の短い列車の時、今日は買えるかな?と、ふと頭をよぎる不安感もいい思い出。」
「(笑)」
「それと思い出すのは、ソバの売り子さんだと思ったら駅弁の売り子さんだった時の残念な気持ち。」
「え!?ソバの売り子さんてヤカンを持っているんでしょ?」
「そう。」
「よく見ないで呼ぶからよ。そそっかしい。」
「失礼な!」
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