幼い思い出は『糸崎のソバ』
2020-05-10
「4月10日号で糸崎駅を紹介してあったので、俺の幼い頃の思い出を話すことにしよう。」
「え?おもしろいの?」
「昔、三原に親戚がいて、よく遊びに行ったんだ。」
「そう?」
「国鉄に乗って行くことが多かった。」
「昔はそうよね。」
「当時は糸崎止めが多く、三原に行くのに糸崎で乗り換えたものだ。」
「へえ。」
「その時の、お目当ては糸崎駅の立ち食いソバ。」
「ほう。」
「乗り換え時間に余裕がある時は店舗に入って立ち食い、余裕が無い時は“お持ち帰り”。」
「なんと。」
「記憶をたどると、かき揚げ天ぷらにネギが少々。出汁はカツオ風味だったな。」
「かき揚げ!ナイス!」
「そのかき揚げが最初カリカリで…。」
「当たり前。」
「そのカリカリが最近のかき揚げとは違い、カリカリ度が高い。」
「え?」
「その最高のカリカリを味わっていた。」
「それから?」
「出汁をすする。」
「ふむ。」
「そうしたら口の中のカリカリが出汁に絡んで絶妙のハーモニー。」
「うっとり。」
「ハーモニーが消える直前にソバをほおばる。」
「なんとも言えない食感が全身に伝わる。」
「ちょっと大げさじゃない?」
「何を言う!! 俺は、小さい頃『明日、三原へ行くわよ。糸崎のソバを食べられるわよ。』の一声を聞くとムチャクチャ勉強したものだ。」
「軽いわね。」
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