月経痛
●月経痛とは
月経痛が強いことを「月経困難症」とよび、はっきりとした原因が見つからない場合があります。
月経困難症をおこす疾患の代表は下記の通り分類されます。
※子宮筋腫と腺筋症は、症状も治療法もほとんど同じです
A:子宮筋腫
子宮の筋肉の中に平滑筋腫とよばれる良性腫瘍のコブが出来る病気
B:子宮腺筋症
子宮の内膜細胞が子宮の筋肉の中で増殖して子宮が大きくなったり、コブが出来たりする病気
C:子宮内膜症
子宮の内膜細胞が子宮の内腔以外の場所(腹膜など)で増殖する病気で、重症になると骨盤全体が癒着をおこして固まってしまう
●月経痛検診
内診や超音波検査、またMRI検査を併用することで正確な診断ができます。
子宮内膜症の診断には、腹腔鏡検査などが行われる場合もあります。
●治療
子宮筋腫や子宮内膜症は、小さくて症状もさほどないのなら治療せず経過観察をしますが、症状によっては薬物療法や手術療法を行う方法、鎮痛薬の処方などで経過をみる方法をとります。
A:薬物療法
筋腫、腺筋症、内膜症に対しての薬物療法として、薬を4~6ヶ月間使用して半年ほど月経を止めてしまう方法(偽閉経療法)があります。これには、毎日点鼻薬を使用する場合と、4週間に一度注射をする場合の二通りあります。子宮内膜症の患者さんには、低用量ピルや内服のホルモン剤も有効です。
B:外科療法
子宮筋腫の一般的な手術法は子宮全部を摘出する「単純子宮全摘術」ですが、出産のために子宮を温存する必要のある場合には筋腫のコブだけを摘出する「核出術」が行われます。ただし、下記のような制約・デメリットがあります。
・1年程度の避妊期間が必要
・次回分娩時に帝王切開が必要
・術中の大量出血の可能性
また、筋腫のある場所によっては核出操作が出来ない場合もあります。
子宮腺筋症ではこうした核出術は施行できません。肥厚した筋層を切除する特殊な手術を行うケースもありますが、原則的には単純子宮全摘術が基本手術になります。
■主な外科療法■
1.腹腔鏡下膣式子宮全摘術
回復が早く、おなかに傷が残らない
2.集束超音波治療
筋腫に対して集束超音波をあてて、縮小させる
3.子宮動脈塞栓術
子宮の動脈に管を入れて、血管を塞ぐ薬を流し込んで血流を止めて筋腫を縮める
その他、子宮内膜症の手術には、子宮全摘術の他、内膜症の病巣だけを切除・焼灼する方法などがあります。