子宮頸がん
A.子宮頸がんとは
子宮頸がんは、外子宮口付近に発生することが多く、子宮ガンの8割以上を占めています。普通の婦人科の診察でこの部分を観察したり、検査すべき細胞や組織を採取することが可能です。したがって、早期発見が容易なわけです。
頸部のがんは非常にゆっくり増殖しますが、がん細胞が子宮頸部に見つかる以前の初期に正常でない細胞が見つかります。この細胞を異型細胞と呼び、細胞診ではこの段階から診断することができるのです。
年齢別にみた子宮頸がんの罹患(りかん)率は、20歳代後半から40歳前後まで増加した後横ばいになり、70歳代後半以降再び増加します。近年、罹患率、死亡率ともに若年層で増加傾向にあります。罹患率の国際比較では、頸部がんが途上国で高いのに対し、体部がんは欧米先進国で高い傾向があります。
B.主な原因
HPV(ヒトパピローマウイルス)の16型と18型ががんを引き起こす主な原因となっています。30歳をはさんだ女性の5人に1人はこのHPVに感染しており、これは男性を媒介として性行為により感染します。
低年齢での初交、性的パートナーが多い、多産、他の性行為感染症、が報告されていますが、その多くはHPV感染のリスク要因です。また、喫煙は確立したリスク要因とされています。その他、経口避妊薬の使用との関連性も指摘されています。子宮頸部腺がんについても、HPV感染や経口避妊薬の使用との関連が指摘されています。
これの予防策としては、「コンドー ムを使う」、「性行為前に接触する可能性のある部位を石けんなどでよく洗う」ということが挙げられます。
C.症状
初期の子宮頸がんでは、全く症状がないのが普通です。
初期症状としては、月経でない時の出血、性行為の際の出血やふだんと違うおりものが増えたりします。他に月経の量が増えたり長引いたりすることもあり、最終的には膀胱・直腸の粘膜にもがんが拡がることがあります。
婦人科の症状がなくても、30歳のころから(結婚している場合は25歳くらいからでも)、2年に1回 子宮がんの検診を受けることをお勧めします。おっくうがらずに受診しましょう。
また、初期段階での治療での生存率は90%を超えますが、がんの最終段階では20%を切ります。早めの検診と治療を心掛けてください。
※生存率とは、診断から一定期間後に生存している確率を示す指標のことです。
D.診断
【細胞診】
がんの部分からこすりとった細胞や、がんから落ちてきたものをガラス板に塗り、色素で染めて顕微鏡で見る診断法です。
ただし、細胞診だけでがんを決定することはしません。なぜなら、がんでなくても、がんと紛らわしい細胞が出ることがあるからです。細胞診に異状があった場合は、次の検査を行います。
【組織診】
疑わしい部分から組織をとり、標本をつくって顕微鏡で診断する方法です。子宮頸部の組織診の際は、ほとんど痛みもなく、出血も間もなく止まります。ただ採取する組織が小さいので、0期のがんか進行したがんか、または0期にもなっていない状態かを鑑別するのが困難なことがあり、何回か組織診を行うこともあります。ときには、「円錐切除術」と呼ばれる方法で組織診を行うこともあり、この場合は入院する必要があります。
【コルポ診】
コルポスコープという拡大鏡のような機械で、子宮頸部粘膜表面を拡大して、細かい部分を観察する診断法です。組織診の組織を採取する際に欠かせません。
E.予防
サーバリックスワクチン(ヒトパピローマウイルスワクチン)という子宮頸がん予防ワクチンの接種で予防することができます。
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