子宮下垂、子宮脱

2011-04-16

-子宮下垂、子宮脱とは-
子宮下垂および子宮脱は子宮の位置の異常のことで、子宮が下降して腟内にとどまっている状態を子宮下垂といい、腟から脱出してくる状態を子宮脱といいます。

-原因-
骨盤底支持組織と骨盤底筋の弛緩のため、骨盤内の臓器が腟から脱出してくる状態が性器脱であり、老化現象のひとつです。
脱出してくる臓器により子宮脱、膀胱瘤、直腸瘤、小腸瘤などと呼ばれています。一種の骨盤底ヘルニアと考えられています。

-症状-
性器の下垂感や脱出感があり、脱出した部分が歩行の障害になることもあります。
脱出部分の粘膜のただれや炎症のために出血などの症状がみられることもあります。

-検査と診断-
視診や内診によって、容易に診断できます。さらに腹圧を加えることにより、子宮下垂と子宮脱の程度は増悪するので明確に診断できます。
子宮腟部が左右の坐骨棘を結ぶ線より下降しているけれども、膣口までに達していない場合を子宮下垂と呼びます。
子宮腟部が腟口から下降しているけれども、子宮全体は腟外へ脱出していない場合を不全子宮脱といい、子宮全体が脱出している時は全子宮脱と呼びます。
一般に子宮脱では子宮頸部延長症が合併することが多くみられます。

治療-
保存的治療としては、硬質プラスチック製のペッサリーを腟内へ挿入し、子宮を上にあげて固定する方法があります。
手術療法では性器脱の程度や種類によりさまざまな方法が行われていますが、医療施設や術者によって術式の選択に偏りがみられるのが現状です。
術式には、
ハルバン手術(子宮頸部切断、膀胱子宮角除去)
腟式子宮全摘術
ドレリ手術(子宮円靭帯切断、その両端を固定)
肛門挙筋縫縮術
マンチェスター手術(左右の子宮傍組織を縫合)
腟閉鎖術
などがあり、単独にあるいは併用して行われています。

-子宮下垂、子宮脱に気づいたら-
性器の下垂感や脱出感があれば、産婦人科を受診してください。

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